自分史


自分史 その7  浪人時代〜大学時代

とりあえず、無謀にも現役で大学受験に臨んだものの、 あえなくというか、予想通り敗退。  と言うわけで、予備校に通うことになりました。
高校3年間女子だけという特殊な状態に慣れてしまって、 久々に見た男子は恐怖の対象でしかなかったです。どうしても男子が多くて、ろくに男子に近寄れませんでした。
だんだん、そんな状態から慣れてきて、男子と慣れたかなぁと思ったときは、 もう、予備校を卒業(?)する頃でした。
 なんとか、大学の2部に潜り込み、晴れて大学生となりました。
自分の行った社会学科は人数が60名ほどで、女子が20名居るか居ないか、 社会人のお姉様方が、5・6人と浪人生が5人くらい? 後はみんな現役の女の子でした。
どうしても、女の子とは仲良くなれなくて、 最初は社会人のお姉様方とつるんでいました。
 何の因果か、自治会活動をすることになってしまい、 そこで知り合った男友達、T君・H君・O君達 といっつもつるんでいるようになりました。
自治会の合宿に行ったときも、最初は男女別の部屋にいたのですが、 なぜか、男子の部屋で雑魚寝。 自分が女としてみられてない快感を久々に得ました。自分も、彼らと一緒で女じゃなく男友達のような感覚でした。
 大学に入ると、ゲイだけでなく、他の性的マイノリティの人々も 表に出始めました。 虎井さんを知ったのも、大学2年か3年の時だったと思います。
それまで、トランスというのはいわゆる「おかま」「おなべ」 で、自分とは違うと言う認識だったので、虎井さんを知ったときは とてもびっくりしました。
しかし、彼もヘテロセクシャルだったので、自分は男が好きだから トランスじゃないんだと思ってしまっていました。
しかし、ゲイコミュニティには入れるわけもなく、 本を読みながらため息をついていました。
そのくせ、大学の女友達に「自分は男かもしれない」と言ってみたり。
彼女の答えは、「ともぞうは男好きだし。セックスもやってみれば 慣れてそのうち良くなるよ」でした。
でも、自分はやっぱり女として男性にやられるのが想像付かなかったのです。 男性として、男性とセックスしたいと思いつつ、 女性向けのファンタジーである「ヤオイ」にも興味を失っていました。
 バイトをしていたコンビニで一緒に働いていた、 Kちゃんという男の子に何の因果か惚れられてしまったり…。
よくからかって、彼のことを後ろから抱きしめていたら、 「押し倒すよ」とか言われてしまって。ある日、奴が「朝から鼻血出して困った。」というので、 つっこんでみると「ともぞうさんが、全裸で出てきた」と言うし…。
その時、ああ自分は男から欲望の対象としてまた見られてるんだと、悲しくなりました。
奴の場合、自分を母親と同一視してたようなので、 ちょっと楽でしたが…。
でも、仲良く仕事しながら、ちょっとばかり悲しかったです。
 大学4年の頃に、やっとトランスのゲイ/レズビアンの人たちが 声を上げ始めました。
ちょうど、卒業間近に発売された本「クイア・パラダイス」を読んで、 ショックを受けます。
そこには、MtFレズビアン・オーバージェンダー・女装家と、今までのトランスやゲイ・レズビアンのイメージをひっくり返すような方達の話を読んで、自分はこれで良いのかもしれないと思います。
特に、MtFレズビアンの方の、 ホルモン注射をして胸はそれなりに大きくしたものの、 これ以上は手術もしないで生きていくという考え方に、 いたく感動をした覚えがあります。
お世辞にも女性とは言い難いその方でしたが、 その考え方がすごく自分の励みになりました。 自分は男で男が好きで良いんだ、 FtMゲイってありなんだと思えるようになりました。
やっと、こんがらがっていた頭がクリアになりました。
 卒業式の後、みんなでオールナイトカラオケ大会をやりました。
そのころ、ちょっと良いなぁと思っていた男の隣に座って カラオケをしていたら、奴がからかってでしょう自分の方に腕を回したので、 思わず吹き出してしまいました。
良いなあと思ってる男に、女だと見られるのが耐えきれなかったのです。反対にそいつの方を組もうとして失敗しました。
目の見えない後輩も一緒に同席していて、 自分の歌声を聞いていいなぁと思ったらしいですが、 女性だと思われてるようだったので、すぐにごめんなさいしました。
確かに、ソプラノの声で女性ボーカルの曲を歌ってれば、 女性だと思いますよね。誰だって。 結局、就職には失敗して、卒業後もフリーター生活を送る羽目になります。



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